「嘘つけ。20分遅れてんだけど」

「ほんと。暑くて家から出たくなくて玄関に座り込んでた」


ほんとにほんと。

行きたくなかったわけじゃないけど、単に熱いところが苦手。

私は首に下ろしたヘッドフォンを抜いてカバンに入れた。


「…誘ったのどっちだよ」

「誘ったのは松下くん。日付提案したのは私」

「…そうだったな。まあ…行くか」

「うん、そうだね」


私たちは駅へ入ってく。


こんなことになったのは夏休みになる1週間前。

久しぶりに松下くんからご飯に誘われて、中庭でお昼を食べていた時──────────