私はもう、あの頃とは変わってしまったらしい。

あー…いや。

昔に戻った、の方があってる気がする。


「…そ、か」


自覚してもなお、松下くんの気持ちには答えないなんて、私はきっと薄情者でしかない。

けどさ。

まだ、ダメなんだよ。

私が変わるだけじゃ。


変わっただけで、乗り越えられていない過去がなくなるわけじゃない。

私はまだ、彼のことが好きなままだ…どうしよう。


「…深井に嫌われるまでは、近くにいる」

「栞帆」

「…あ?」

「栞帆でいい。てか、そう呼んで」