すると。


「和穂〜?」


間抜けな声で、教室の入り口から顔を出したのは、噂の松下くん。


「あー、柊彩。来たの?」

「…飯の相手いねぇんだもん」


松下くんは私の顔をチラリと見ると、顔を少し赤くさせてパッと視線をそらした。

…乙女みたい。


「…帰る」

「えー、いいじゃん。栞帆ちゃんいるよ?」

「〜っ、無理…っ」

「なんでなんでー?せっかく栞帆ちゃんと仲良くなるチャンスなのに」


2人は帰ろうとする松下くんを引き止めた。

無理に引き止めてあげなくてもいいと思うんだけど。