トイレから帰ってきた栞帆の顔は少し腫れが引いていた。


長い間待たせたことに、すごく悪いと思っていたのか不安げに帰ってくる。


「帰るかと思った」

「…んなことしねぇよ、デートなんだろ」


そして、栞帆は最初と同じように水族館を堪能して。

にこやかに笑う。

さっきまでのはなかったみたいに。


夕方、一通り回り終えて、水族館を出た。


「ねぇ、松下くん」

「…ん?」

「話したいことがあるの、さっきのこと。
…まだ、時間ある?」