拗ねたように、ただ。

少しだけ、最初より晴れやかになった顔。


「なぁ、栞帆」

「…何?」

「連絡先、変わってない?」

「…だったら、どうなの?」

「俺が、栞帆のこと思い出にできたら、また。

また、あの時みたいに、俺の隣で笑ってくれる?

友達とか、そういう類で」

「…もちろん。私も、和久のこと、すぐに思い出にしちゃうから。
だから、がんばろ?」

「ん、そうだな…また、な」

「うん、またね、また…いつか」


栞帆は涙を溜めながら、少し後ずさりして、遠くなっていく2人の背中を見つめた。