栞帆も、何も抵抗せずにただ、同じように男を見つめていた。


「ねぇ、私。…和久のこと思い出にしてしまいたいの。

前に進みたい、進まなきゃダメなの。ねぇ…和久。

…私のこと、どう思ってる?」


栞帆は泣きそうな顔になって、ただじっと、男を見つめていた。

男は少し顔を歪めて、いびつに笑った。


「…俺は、大事だって思ってるよ。栞帆のこと。

多分、これからも、思い出にできたとしても、ずっと栞帆のことは大切な人だって思ってると思う。

…これ以上、ないくらいの最高の思い出と、最悪の思い出。両方くれた。

俺は、栞帆のことが好きだよ」