「そっか…まぁ、俺もなんだけどさ。

ふっ…、結局、俺何も成長してないんだけどな?」


そう言ってチラリと後ろの女に目を向けた男。

女は栞帆に異常なまでに睨みつけていた。


「…私も、同じだよ。結局、何も変わってない。

最近、ようやく感情を表に出せるようになってきたの。

けどね?うん。思ってた通りだった。

結局、何も変わってないの。和久のこと」

「あぁ、俺も。全く一緒だよ」


そう言って、男は栞帆に手を伸ばす。

栞帆の頬に触れて愛おしそうに見つめる。