君からのヘッドフォン

俺は振り向かずに栞帆の手を引いて歩いた。

そして、チケットを買うと中に入った。


栞帆は思いの外ワクワクしているらしく、ずーっと目をキラキラさせている。

すっげー純粋。

水族館ごときでこんな喜ぶかね。


「松下くん」

「…ん?」

「ありがと」

「…どうしたしまして」


栞帆はぎゅっと俺の手に力を込めるとふわりと笑った。


…初めて見た、こんな嬉しそうに笑うの。

栞帆はいつも無表情で、辛辣で。

発する言葉は全て人を傷つける、ぐらいのレベルで尖ってたのに。
今は…だいぶ。