「ん…ほら。行くよ」

「はーい」


1枚の切符を渡してくれる松下くん。

こんなピラピラじゃ、すぐ無くしちゃいそう。

そんなことを心の中で思いながら、改札を通った。


「ん、ほら。切符貸して」

「ん?なんで?」

「なんか…栞帆無くしそうじゃん」


…ご名答。

私は何も言わずに松下くんに切符を返した。

って、あれ?


「私切符のお金払ってない」

「いいよ、別に。これくらい」