松下くんは渋々と言った感じで、連絡先だけ入れると私にスマホを返した。


「ん」

「どーも」


──────────こんな感じで、本日、水族館に行きます。


「松下くん」

「ん?」

「切符の買い方知らないんだけど」

「…お嬢様じゃん。

ちょっと待ってて、買ってくるから」

「ん」


私はベンチにちょこんと座ると、松下くんを待つ。

仕方ないじゃん。

友達いないから遊びに出かけることもないし、高校も徒歩圏内選んだし。

もう何年も電車に乗った記憶なんてない。