「あのさ…俺。
深井のこと、好き」

彼、松下柊彩くんに呼び出された私は、昼休み、屋上に来ていた。

やけに至近距離で、ほんのり頬を赤く染めた松下くんは私にそういうと、私の目を見つめた。


「…声が、好きじゃない」

「へ…?」


どれくらい、静かな時間を過ごしたのかはわからないけど、私の第一声はそれだった。

ヘッドフォンに触れて、少し見上げがちにそう言った。


「声が、好きじゃないの。ごめん」


そう言って私はヘッドフォンを付け直して、屋上を出た。