サルセル王太子に、アヒルになる呪いをかけていたというのだ。
セシリアを心配した侍女たちは、そもそも王太子が求婚状を寄越さなければ、思い悩む必要はなかったのに、と話していた。
そして、初めからこの縁談をなかったことにできないかと相談した。
その結果の、黒魔術である。
アヒルが相手では、結婚しようがなく、断るも断らないもない、という説明であった。
その突拍子もないアイディアに驚きつつ、「なぜアヒルなの……?」とセシリアが問えば、カメリーが被っていたフードを外して真顔で言う。
「城内の池で鴨を捕獲するつもりだったのですが、逃げられてしまい、アヒルしか捕まえられませんでした。残念です」
「そ、そうなの……」
残念ね、とは同意してあげられず、曖昧に頷いたセシリアは、今度はツルリーに尋ねる。
「なぜ服を脱いだの?」
すると下着姿で胸を張るツルリーが、張り切って答えた。
「セシリア様のためにひと肌脱ごうという話になったからです! 黒魔術の本には、踊るというだけで、脱ぐ必要までは書かれていなかったんですけど、私のやる気が伝わるかと思いまして!」
「そ、そうなの……」
セシリアを心配した侍女たちは、そもそも王太子が求婚状を寄越さなければ、思い悩む必要はなかったのに、と話していた。
そして、初めからこの縁談をなかったことにできないかと相談した。
その結果の、黒魔術である。
アヒルが相手では、結婚しようがなく、断るも断らないもない、という説明であった。
その突拍子もないアイディアに驚きつつ、「なぜアヒルなの……?」とセシリアが問えば、カメリーが被っていたフードを外して真顔で言う。
「城内の池で鴨を捕獲するつもりだったのですが、逃げられてしまい、アヒルしか捕まえられませんでした。残念です」
「そ、そうなの……」
残念ね、とは同意してあげられず、曖昧に頷いたセシリアは、今度はツルリーに尋ねる。
「なぜ服を脱いだの?」
すると下着姿で胸を張るツルリーが、張り切って答えた。
「セシリア様のためにひと肌脱ごうという話になったからです! 黒魔術の本には、踊るというだけで、脱ぐ必要までは書かれていなかったんですけど、私のやる気が伝わるかと思いまして!」
「そ、そうなの……」


