楽しそうな顔でサロンパーティーについて話す娘に、王妃は笑顔で相槌を打つ。

それから、「ドレスや靴は用意したの?」と母親らしく心配した。


上級貴族の令嬢ならば、以前と全く同じ服装で行くものではない。

ドレスや靴、アクセサリーは、催しがあるたびに、最低でもひとつは新調するのが常識である。


母の問いかけにセシリアは、問題ないというように微笑んで頷いた。


「明日、コルドニエのご主人が、新しい靴のデザイン画を持ってきてくださるんです。あの店は十日もあれば靴を作ることができますから、サロンパーティーには充分に間に合いますわ」

「それなら良かったわ。セシリアはしっかりしているから安心ね」


王妃は優雅に紅茶のカップを口に運び、食べ盛りのエドワードは、デザートを食べ終えても満腹にはならなかった様子で、カットフルーツを持ってくるようにと給仕の者に頼んでいる。

三人での晩餐は、穏やかに時間が流れゆく……と思ったら、「靴屋」と呟いたセシリアが、急に両手をパチンと合わせて、「そうだわ!」と大きな声をあげた。