自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

「わたくしは、ええと、その……」


応援ではなく邪魔をしたのだと言うべきところなのに、セシリアは困り顔で口ごもる。

今年が最初で最後のチャンスとジャルダンに言われたことで、後悔と罪悪感が押し寄せていた。


(楽しんで庭を荒らした私は、愚かだったわ。ああ、ジャルダンさんに、どのようにしてお詫びしたらいいのかしら……)


ジャルダンは審査員と会話する気力もなく、ただ肩を落としてうなだれている。

セシリアは眉をハの字に下げて、心の痛みに耐えるように、デイドレスの胸元を握りしめていた。


ふたりの様子に首を傾げた審査員長であったが、「それでは、作品を拝見いたしましょう」と審査を始めてしまった。

この後も午前中のうちに、たくさんの庭を審査しなければならないので、急いでいるらしい。


「こ、これは……!?」


揃って庭に視線を向けた審査員たちは、一様に驚きの表情を浮かべている。

ツゲの生垣は、ウサギや猫などの動物の形に刈り込まれ、低木は棒付きキャンディのように渦を巻いている。

芝生にはカラフルなハートが幾つも描かれ、秩序を無視した初夏の花々が、型破りに散りばめられていた。

小さな浅い池まで造られて、バラの花びらが浮かべられた水面では、小鳥たちが水浴びを楽しみ、盛んにさえずり合っている。