自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

自分が主人公の恋愛話が、ものすごい速度で広まっているのを想像したセシリアは、「ああっ……」と可愛らしく呻く。

恥ずかしさに耳まで熱くなり、それを見られまいとして両手で顔を覆った。

そんな彼女の肩をポンと叩いた国王は、父親として娘を叱る。


「夜中に城を抜け出し逢引していたのだから、あらぬ噂を広められても仕方あるまい。自業自得だと反省しなさい」


その後には声を柔らかくし、笑いながら文句を付け足した。


「まったく、とんだ不良娘だ。これではカナール王国へ嫁がせるわけにはいかないな。悪い評判が立った娘では、サルセル王太子に失礼であろう」

「お父さま……!」


国王に振り向いセシリアの目は、驚きに見開かれている。

その大きく丸い瞳には、見る見るうちに涙が溢れて、白く滑らかな頬を流れた。

「ありがとうございます……」と感謝を述べる声は震えて聞き取りにくいが、国王には娘の気持ちがしっかりと伝わったようである。