自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

その呼びかけで笑いを収めた国王は、温かな手で娘の頭を撫で、「オリビアに似てきたな。やはり母娘だ」としみじみとした声で呟いた。

そして今度は、ニヤリと口の端をつり上げる。


「お前たちの覚悟はよくわかった。命を賭けるに値する愛があるというのは、口だけではないようだ」


「グラハム!」と国王がドアに向けて呼びかけると、すぐにドアが開けられて近侍が入ってきた。

「調査は終わったか?」と機嫌のよさそうな声で問いかけた国王に、近侍もにこやかに返事をする。


「はい。たった今、調査結果を受け取りました」


彼は懐から数枚の用紙を取り出した。

窓辺に背中を預けて腕組みをし、調査結果とやらを聞く体勢を取った国王に向け、近侍ははっきりとした声で読み上げる。

それは、クリミネル一家の大捕獲劇の後、夜が明けてからの王都の民の様子に関するものであった。


誘拐された娘を自宅まで送り届けた騎士が、誤った説明をしたことは、セシリアとクロードも知っている。

それが瞬く間に広まって、あの辺りの一角だけではなく、今や王都中で噂されているそうだ。