自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

三人が執務室に入り、近侍は廊下に残ってドアを閉めた。

国王に人払いを命じられたのだと思われる。


国王は椅子に座らず窓辺に立ち、セシリアとクロードは、国王から三歩ほど離れた位置で並んで足を止めた。

腰の後ろで手を組み、外を眺めている国王は、なかなか話し出さない。

セシリアたちを落ち着かない気持ちにさせていることなどお構いなしに、十分以上も黙っていた国王であったが、やがて独り言のように窓に向けて口を開いた。


「いい天気だ。朝靄もかからず、今朝は西門がよく見えた」


それを聞いたセシリアは、『やっぱり……』と心の中で呟き、肝を冷やした。

危惧した通り、クロードとふたりで馬に乗り帰城したところを見られていたに違いない。

彼を守るため、夜間外出しても不自然のない理由を考えねばと、心を忙しくするセシリアであったが、名案は浮かばず、出てくるのは冷や汗のみ。

嘘をつき慣れていない彼女にとって、この窮地を切り抜けるのは、かなりの難題に感じられた。


オロオロとするセシリアの隣では、クロードがため息をついていた。

しかしそれは諦めではなく、動揺する心を落ち着かせるためのものであるようだ。

覚悟を決めたような太い声を響かせて、クロードは自ら罪をはっきりと打ち明ける。