その言葉だけを取れば、褒めているかとも思われるが、国王の表情と声色には厳しさが感じられた。
鋭い眼光で見据えられ、クロードがセシリアを抱きしめる腕に力を込めれば、国王は視線を左に流した。
荷車を引いた使用人が通りかかろうとしていて、それに気づいた国王は踵を返すと、肩越しに振り向いて低い声で命じる。
「ふたりとも、ついてこい。執務室で話をしよう」
「クロードさん……」とセシリアは、焦りの中で呼びかけた。
きっとなにもかも見抜かれている……父の大きな背中を、崩れぬ壁のように感じ、彼女の鼓動は嫌な音で鳴り立てていた。
おそらくはクロードも、同じ気持ちではないだろうか。
美麗な顔の眉間には、深刻そうな皺が刻まれている。
けれども今は逃げられる状況ではなく、「行こう」と彼女の肩を抱いたクロードは、通用口の扉を潜るのであった。
なぜか必要以上にゆっくりと歩く国王は、西棟の二階にある執務室に向かっており、セシリアたちは無言で後に続く。
やっと執務室前に着くと、国王の近侍が控えていて、ドアを開けてくれた。
グラハムという名の近侍は、王太子時代からの国王の側近である。
会釈したセシリアに、「おはようございます」と微笑んでくれた彼だが、その笑みにはわずかに緊張が感じられた。
国王の怒りを察しているためであろうと推測し、セシリアはますます不安が募る。
(クロードさんが処罰されるような展開だけは避けないと。うまく言い逃れできるかしら……)
鋭い眼光で見据えられ、クロードがセシリアを抱きしめる腕に力を込めれば、国王は視線を左に流した。
荷車を引いた使用人が通りかかろうとしていて、それに気づいた国王は踵を返すと、肩越しに振り向いて低い声で命じる。
「ふたりとも、ついてこい。執務室で話をしよう」
「クロードさん……」とセシリアは、焦りの中で呼びかけた。
きっとなにもかも見抜かれている……父の大きな背中を、崩れぬ壁のように感じ、彼女の鼓動は嫌な音で鳴り立てていた。
おそらくはクロードも、同じ気持ちではないだろうか。
美麗な顔の眉間には、深刻そうな皺が刻まれている。
けれども今は逃げられる状況ではなく、「行こう」と彼女の肩を抱いたクロードは、通用口の扉を潜るのであった。
なぜか必要以上にゆっくりと歩く国王は、西棟の二階にある執務室に向かっており、セシリアたちは無言で後に続く。
やっと執務室前に着くと、国王の近侍が控えていて、ドアを開けてくれた。
グラハムという名の近侍は、王太子時代からの国王の側近である。
会釈したセシリアに、「おはようございます」と微笑んでくれた彼だが、その笑みにはわずかに緊張が感じられた。
国王の怒りを察しているためであろうと推測し、セシリアはますます不安が募る。
(クロードさんが処罰されるような展開だけは避けないと。うまく言い逃れできるかしら……)


