自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

馬上のふたりに沿道から、たくさんの感謝と賛辞の声がかけられる。

それだけではなく、万歳を叫んでいる男たちもいれば、「まぁ、なんてお似合いなのかしら!」「王女殿下もお年頃ですものね」と嬉しそうに話す娘たちもいた。

若い女性はなにかにつけ、恋愛事に話を結びつけるのが好きなようである。


恥ずかしくなったセシリアは騎士服の胸元に顔を埋め、困り顔をしたクロードは、馬の速度を緩やかに上げた。

悪党には勇敢に立ち向かう彼でも、冷やかしの声が飛ぶ状況からは、逃げ出したくなるようであった。


王城に帰り着くと、夜の気配は完全に消えて、眩しい朝日がそびえ立つ大邸宅や広大な前庭を照らしていた。

夜間は閉められていた門も、今は開放されている。

クロードが王女を乗せて帰城したため、門番は首を傾げていたが、なにも問わず、敬礼しただけでふたりを見送る。


西門から入って東側まで移動したふたりは、厩舎の前で馬を下りる。

そこで働く馬番に馬を預けた後は、東の通用口に向けて急ぎ足で進んだ。


「使用人たちが、仕事を始めたか……」