自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

「ク、クロードさん。わたくしたち、ここを立ち去った方がいいのではないでしょうか……?」


五十人ほどの住民たちに囲まれて怯むセシリアは、クロードにしがみつきながらそう言った。

怖がるセシリアを腕に抱きしめるクロードも、どんどん増える街の民に困惑し、彼女の意見に頷いた。


「その方がいいな。これほどまでに興奮されては、間違いを訂正することは難しい。それに、早く帰城しなければ、セシリアの不在が国王陛下に知られてしまう恐れがある」

「それは大変です。早く帰りましょう!」


ふたりはまだ駆け落ちを諦めていないので、夜間に城を抜け出したことが国王の耳に入ることを心配していた。

もしや王都を出て逃げるつもりだったのかと怪しまれ、警戒されて監視でもつけられたら、二度目の駆け落ちがやり難くなってしまう。


それでクロードが、先ほどの騎士に指示して、住民たちに道を開けさせると、ゆっくりと馬を進める。

その時にはもう、隣から隣へと噂が広まって、何百人という街の民が門戸から姿を現していた。