自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

ご苦労様という意味でクロードは頷き、馬を歩かせようとしたのだが、なにを勘違いしたのか、その騎士は親子に向け、叱咤するように厳しい声をかけた。


「感謝したいのならば、神にではなく、そこにおられる王女殿下と騎士団長に対してしなさい!」


「えっ!?」と戸惑うセシリアとクロード。

ふたりの存在に気づいて振り向いた親子に、騎士は胸を張り、なぜか得意顔で説明する。

誘拐犯を見つけたのは、夜の海辺を散策していた王女である。

護衛として同行していた騎士団長がひとりで悪党一味に立ち向かい、王女は応援要請に城まで走って戻ったのだと、彼は大きな声で話して聞かせた。


勘違いだらけの説明にセシリアは慌て、クロードは「おい!」と騎士に注意を与えた。

それからすぐに間違いを訂正しようとしたクロードであったが、それができなくなったのは、誘拐されていた娘と両親が門を飛び出し、泣き叫びながら駆け寄ってきたからであった。

涙で顔をグシャグシャにして喜ぶ三人は、馬の横腹に抱きつくようにして口々に感謝を述べる。