自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

「あの悪党たちは、クリミネル一家だーー」


その名にはセシリアも覚えがあり、驚いていた。

五年前、セシリアを港で襲った男たちと同じ一味であったからだ。

あの時、港にいた悪党たちは、クロードの手により全員倒されたのだが、組織が消滅したわけではない。

今はさらに人員を増やして、王都で暗躍していたらしい。

国王軍は、クリミネル一家を放置していたわけではなく、これまでに幾度となくアジトを摘発し下っ端の構成員を捕縛してきたそうだが、上手に逃げ隠れする親玉は捕まえられずにいたそうだ。

それが今回の件で、やっと縄をかけることができたようである。


「上官に褒められてしまった」と、クロードは暗い声で打ち明け、嘆息する。

クリミネル一家に軍の動向が悟られないよう、クロードがあえて単独調査した結果の大捕獲劇であったと、勘違いされたらしい。

軍の幹部に褒められても、喜べずにいるクロードだが、攫われた娘たち全員を救出できたことについては、嬉しく思っているとセシリアに話した。

それは、大失敗に終わった駆け落ちの中で、唯一の明るい成果であろう。


セシリアもそれに関しては、頬を綻ばせる。


「助けることができて本当に良かったですわ。彼女たちは、もう家に帰ったのですか?」

「ああ。聴取が終わったから、先ほど、自宅まで送り届けるよう部下に命じた」

「それでしたら、今頃、両親と再会して喜び合っているのかもしれませんね……」