自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

急に瞳を甘く艶めかせ、彼はセシリアの腰を引き寄せると、顎をすくう。

胸を高鳴らせるセシリアが、そっと瞳を閉じれば、後ろに慌てたような声がした。


「わ、わたくし、ここを出ますので、そういうことは、おふたりきりで……」


顔を赤らめて立ち上がったのは、イザベルである。

まだ恋人のいない彼女にとって、目の前でラブシーンを見せつけられるのは、刺激が強すぎるようだ。


(私ったら、イザベルのことをすっかり忘れてしまったわ……)


彼女に振り向いて「ごめんなさい!」と謝ったセシリアも、恥ずかしさに頬を染めている。

ウブなふたりの令嬢に、クロードは苦笑するしかない。

そして甘い雰囲気を消すとイザベルに向き直り、「我々はこれで帰ります。ご協力に感謝いたします」と頭を下げたのであった。


王城へ帰るからには、町娘の衣装は脱がねばならない。

イザベルに借りたデイドレスに着替え、王女らしい姿に戻ったセシリアは、馬に乗ってドラノワ家を後にする。

横座りするセシリアを腕に抱くようにして手綱を握るクロードが、馬を歩かせながら事件について説明してくれた。