自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

男たちは、船外に出ていた者だけでも二十人ほどはいた。

悪党ならば、武装しているに違いなく、ひとりで立ち向かうのは無謀だと、セシリアはおののいた。


「クロードさん、それはあまりにも危な……あっ!」


けれども、セシリアが止める間もなく、クロードが駆け出してしまった。

波に濡れた岩場でも、身軽に移動する彼の姿は、すぐに夜の闇にのまれて見えなくなる。

ハラハラと心配するセシリアは、階段を駆け上がり、ドラノワ公爵邸に入るのではなく、崖沿いに密輸船のある方へと進む。

安全な屋敷内でじっと待っていることはできそうになく、上から戦いの様子を覗こうと考えたのだ。

ドラノワ家の裏庭から二十メートルほど離れ、この辺りかと思うところで恐々と崖下を覗き込めば……すでに戦闘の真っ最中であった。


岩場にはクロードにやられたのだと思われる男たち七人が倒れ、動かなくなっている。

桟橋の上にいるクロードは、前後を男たちに挟まれているが、前のふたりを剣の一振りでなぎ払い、後ろの敵を蹴り飛ばして海中に沈めていた。

そのまま走って船に飛び乗った彼は、船上でも華麗に立ち回る。


攫われた娘たちは、甲板の隅に身を寄せ合って、突然始まった戦闘に悲鳴を上げていた。

襲いかかる悪党どもを、次々と危なげなく倒していくクロードは、やはり桁違いに強い。