自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

これは誘拐事件だろうという予測のもと、今現在も調査中であり、娘たちも犯人も、まだ所在不明という話であった。


「なんて、ひどい話なの……」


攫われた娘たちは、どれほど怖い思いでいることだろう。

セシリアは彼女たちに心からの同情を寄せ、その目に涙を浮かべる。

密輸品の荷下ろしだけなら、見なかったことにできても、この状況は見逃せない。

自分たちがなんとかしなければ、彼女たちは遠くまで連れ去られ、その後はどうなってしまうことか。

そのまま悪党の妻や愛人とされるのか、それとも売り飛ばされるのかはわからないが、哀れな結果になるのは目に見えている。


(助けないと……)


強くそう思ったセシリアは、クロードの騎士服をぎゅっと握りしめる。

けれども、同時に迷いも生じていた。


(王城に知らせに行けば、私たちは駆け落ちすることができなくなるんじゃないかしら? でも、このまま放っておくことはできないわ。ああ、どうしたら……)


それは、クロードが決断してくれた。

彼としても、人攫いを見逃すことができないようで、セシリアを連れて崖下の階段まで戻ると、低い声で指示する。


「セシリアは一旦、ドラノワ邸に戻って待っていてくれ」

「クロードさんは……?」

「悪党退治だ。城に応援要請を出すわけにいかないからな。ひとりで始末し、あの娘たちを救出してくる」