自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

整備されていない自然の岩場に、桟橋のように板が渡されて、帆船が横付けされていた。

腰にランプを下げた人相の悪い男たちが、船から積荷を下ろし、どこかへ運んでいるようだ。

ざっと見た限り、その人数は二十人ほどだろうか。

船内にもまだ船乗りがいるかもしれないので、正確な人数はわからない。


王都には立派な港があり、商船ならば、そこで荷物の積み下ろしをすればいいのに、このような不便な場所で、しかも真夜中に働いているのは、一体どういうわけだろう……。


頭の中で理由を探したセシリアが、「まさか……」と呟いたら、睨むように商船を見つめるクロードが頷いた。


「密輸船だ。王都の港近くで、大胆なことをやってくれるな」

「密輸船!?」

「しっ。静かに。積み荷が気になる。麻薬や武器の類ではあるまいな。船ごと捕らえたいところだが……」


セシリアが海に落ちないようにと、片腕で抱き寄せつつ、クロードは苦しげに唸った。

王女を攫って逃げるという大罪を犯している彼だが、悪党を見ると、正義感から捕まえなければと思うらしい。

その気持ちをグッと押し込めて、彼は駆け落ちを優先させる。


「戻ろう。船を出して、早く王都を離れなければ」