細心の注意を払い、無事に北側の通用口から邸宅の外に出ると、空には小さな三日月が浮かんでいた。
満月ならばもう少し周囲が見えただろうが、今宵は足元も見えないほどの暗夜である。
視覚よりも記憶を頼りに森の方へ進めば、突然「セシリア」と小声で呼びかけられ、誰かに腕を掴まれた。
驚いて、悲鳴をあげそうになった口を、慌てて自分の手で塞ぐ。
その声がクロードのものであると、気づいたからだ。
彼とは森の中で落ち合うはずであったが、セシリアが遅れたため、心配になって出てきたのだと思われた。
「お待たせしてごめんなさい」とセシリアが謝れば、クロードはホッとしたように息をついた。
「もしや気が変わったのかと、不安に思ってしまった。すまない。急ごう。ちょうど見張りが交代するところだ」
手を引かれて森の中に入れば、一段と夜が濃くなったように感じる。
けれどもクロードはセシリアより暗闇に目が効くのか、スタスタと歩いていく。
セシリアは変装のために町娘の衣装を着ているが、彼はいつもの騎士服である。
スムーズに脱出するには、見張りの兵や使用人たちに姿を見られないようにしたいところだが、門だけはそうはいかない。
城門には門番が立ち、夜間はしっかりと施錠されている。
そこを抜けるには、騎士としての任務があるふりをして、堂々と出ていく方が都合がよかった。
満月ならばもう少し周囲が見えただろうが、今宵は足元も見えないほどの暗夜である。
視覚よりも記憶を頼りに森の方へ進めば、突然「セシリア」と小声で呼びかけられ、誰かに腕を掴まれた。
驚いて、悲鳴をあげそうになった口を、慌てて自分の手で塞ぐ。
その声がクロードのものであると、気づいたからだ。
彼とは森の中で落ち合うはずであったが、セシリアが遅れたため、心配になって出てきたのだと思われた。
「お待たせしてごめんなさい」とセシリアが謝れば、クロードはホッとしたように息をついた。
「もしや気が変わったのかと、不安に思ってしまった。すまない。急ごう。ちょうど見張りが交代するところだ」
手を引かれて森の中に入れば、一段と夜が濃くなったように感じる。
けれどもクロードはセシリアより暗闇に目が効くのか、スタスタと歩いていく。
セシリアは変装のために町娘の衣装を着ているが、彼はいつもの騎士服である。
スムーズに脱出するには、見張りの兵や使用人たちに姿を見られないようにしたいところだが、門だけはそうはいかない。
城門には門番が立ち、夜間はしっかりと施錠されている。
そこを抜けるには、騎士としての任務があるふりをして、堂々と出ていく方が都合がよかった。


