自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

「わかったわ」と、ふたりから離れたセシリアは、ドアへ向かう。

侍女たちとは、ここでお別れだ。

森までついて来させないのは、セシリアの配慮である。

セシリアを見送ろうとしている姿を、もし誰かに見られたら、この駆け落ちに侍女たちが協力したと思われ、罰せられるかもしれないからだ。


「セシリア様、どうかご無事で……」とツルリーが涙声で最後の言葉をかけた。

カメリーは、「私たちはいつもセシリア様の幸せを祈っています」と胸の前で指を組み合わせている。


「今までありがとう。ツルリー、カメリー、元気でね。ふたりが侍女になってくれて、とても楽しかったわ。さようなら……」


笑顔を作ってそう言ったセシリアは、そっと廊下に出る。

侍女たちとの別れは、彼女にとっても非常につらいことだが、泣いてはいられない。

クロードの足手まといにならないように、強くしたたかに生きていこうと、心に誓ったからである。


(お父様の決めた結婚の話を蹴って、恋人と逃げるなんて、とても悪いことよね。私はやっと、真の悪役令嬢になれたんじゃないかしら……)