その夜。セシリアの私室の柱時計は、零時を指したところだ。
「時間だわ。行かなくちゃ」
町娘のような質素なワンピース姿のセシリアは、フード付きの茶色のマントを羽織って、二日分の着替えしか入っていない小さな布袋を手に持った。
これから城壁内の北側に広がる森で、クロードと落ち合い、馬で逃げる予定である。
「セシリア様ー!」と泣きながら抱きついてきたのは、ツルリーだ。
「本当に行っちゃうんですか? もう会えないなんて、悲しいですー」
「わたくしもツルリーと離れるのは寂しいわ。でも、わかって。クロードさんと一緒に生きていきたいの。カナール王国へ嫁ぐのは嫌なのよ」
「そうですよね。騎士団長とせっかく両想いになれたのに、引き裂かれたくありませんよね。それはわかってますけど、別れが急すぎて……」
セシリアがツルリーの背中を撫でて慰めていると、すぐ横に立っているカメリーが出発を催促する。
「セシリア様、お急ぎください。見張りの交代時間に合わせての脱出計画が崩れてしまいます」
冷静で淡々とした口調はいつも通りだが、カメリーの瞳も別れの寂しさに潤んでいた。
「時間だわ。行かなくちゃ」
町娘のような質素なワンピース姿のセシリアは、フード付きの茶色のマントを羽織って、二日分の着替えしか入っていない小さな布袋を手に持った。
これから城壁内の北側に広がる森で、クロードと落ち合い、馬で逃げる予定である。
「セシリア様ー!」と泣きながら抱きついてきたのは、ツルリーだ。
「本当に行っちゃうんですか? もう会えないなんて、悲しいですー」
「わたくしもツルリーと離れるのは寂しいわ。でも、わかって。クロードさんと一緒に生きていきたいの。カナール王国へ嫁ぐのは嫌なのよ」
「そうですよね。騎士団長とせっかく両想いになれたのに、引き裂かれたくありませんよね。それはわかってますけど、別れが急すぎて……」
セシリアがツルリーの背中を撫でて慰めていると、すぐ横に立っているカメリーが出発を催促する。
「セシリア様、お急ぎください。見張りの交代時間に合わせての脱出計画が崩れてしまいます」
冷静で淡々とした口調はいつも通りだが、カメリーの瞳も別れの寂しさに潤んでいた。


