自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

彼の腕の中で、待ち受ける困難を想像しながら聞いていたセシリアだが、それでも迷うことなく頷いた。


「わたくしが憂慮しているのは、クロードさんが捕らえられることだけです。捕まらないと約束してくださるのなら、悩むことはありません。どんなに貧しい暮らしでもいい。クロードさんと離れたくありません」


彼の腕の中で顔を上げたセシリアは、照れることなく視線を交え、はっきりと覚悟を伝える。


「わたくしは今日限りで王女を辞めます。ふたりで遠くへ逃げましょう」

「セシリア……ありがとう」


クロードが敬称を外したのは、王女の地位を捨てるという彼女の意志を、受け止めたからであろう。

身分という壁が消えた気がして、セシリアの胸は喜びに高鳴る。


真摯な眼差しを向けるクロードは、「必ずや逃げ延びて、君を幸せにする」と頼もしく宣言した後に、フッと柔らかく微笑む。

そして、「えっ?」と目を丸くしたセシリアに、麗しき顔を近づけ、誓いの口づけを与えたのであった。