自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

(お母様は今の私と同じくらいの年頃に、決死の覚悟でお父様を救ったということよね。なにかを成し遂げるには、そのくらいの心の強さと勇気が必要なんだわ。私もお母様のようになりたい……)


水色の空を見上げていた国王が、視線をクロードに戻した。

王妃を想って話していた時の優しい笑みは消え、その眉間には深い皺が刻まれる。


「クロード、口だけならば、なんとでも言えよう。オリビアのような覚悟は、お前にはあるまい」


侮るような低い声でそれだけ言うと、国王は踵を返して歩きだした。

見つからないように全身を木の幹に沿わせて隠れるセシリアは、許してもらえなかったことに落胆している。


(私の結婚は、国家間の友好関係を保つために必要なんですもの。私とクロードさんが想い合っているという理由だけで、簡単に許してもらえるはずはないんだわ……)


木々の合間に遠ざかる父の姿を、悲しげに見送っていたセシリアだが、枯れ枝を踏んだような音をすぐ近くに聞いて、驚いて横に振りいた。

すると隣には、片手を腰に当てた真顔のクロードが立っている。