自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

クロードは左膝を草地について、肘を直角に曲げた右腕を前に出し、頭を下げる。


「叱責を覚悟の上で申し上げます。国王陛下、どうか私にセシリア様をお与えください」


腕組みをした国王は、クロードを見下ろすのみで、なにも答えずに難しい顔をしている。

クロードの想いを聞いたセシリアは、木の陰に隠れつつ、大粒の涙を流していた。

驚きの波が落ち着いてくれば、歓喜に胸が震える。


(クロードさんも、私を慕ってくださっていたなんて……嬉しくて涙が止まらないわ)


礼拝堂で、せめて最後の思い出を……とセシリアが口づけを求めても、彼は与えてくれなかった。

『今はできません。少々、お時間をいただきたい』と言って。

それは隠れてするのではなく、国王に許しを得てからすべきことだと、考えたためのようだ。


そうとは知らずに傷ついていたセシリアは今、クロードの誠実さを感じて、たちまち失恋の傷が癒えた気がしていた。

しかし、単純に喜んでいられる状況ではないようだ。