自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

奥はポッカリと開けているようで、それに気づくと同時に、父の声が聞こえてハッとした。


「クロード、先ほどの話は本気で言っていたのか? まさか、冗談ではあるまいな」


問いただすような物言いに、セシリアの緊張が増す。

急いで明るい光の方へ進めば、ふたりの姿をやっと視界に捉えることができた。


木々が丸く切り取られた空間は、下草が膝下丈まで茂っている。

素人が作ったようなみすぼらしい東屋が一棟あり、それはおそらく、大工仕事も趣味だったという、先代国王が建てたものではないかと思われた。

板が朽ちて今にも崩れ落ちそうに見えるけれど、現国王が撤去の命令を下さないのは、父親との思い出が詰まった場所であるからなのかもしれない。


その東屋の横で、国王とクロードは、三歩の距離をおいて向かい合っていた。

それを二馬身ほど離れた太い木の幹に隠れて、セシリアは覗いている。

父の険しい顔は確認できるが、クロードは後ろ姿しか見えない。

眉間に深い皺を刻んだ国王の問いかけに、クロードは姿勢正しく、はっきりとした声で答えた。


「もちろん本気で言ったことにございます。私はセシリア様をお慕いしております。この命を懸けて守り続けますので、どうか私の妻とすることをお許しください」