自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

恥ずかしさを克服すれば、声にも力と熱が込められ、イザベルは今、伸び伸びと歌っている。


「君のために、私は戦う〜。愛こそが、全て〜」


セシリアが目を丸くしている理由は、気持ちの乗ってきたイザベルの歌声が、オペラ歌手並みに非常に上手であったからだ。

最後のフレーズをイザベルが歌い上げ、オーケストラが印象的な音でオペラを締めくくったら、割れんばかりの歓声と拍手が客席から沸いた。

観客たちが次々と立ち上がり、あちこちから「ブラボー!」と賞賛の声がイザベルにかけられている。

彼女の肩から腕を外したトワルも、ホッとした顔をして隣で拍手していた。


ハッと我に返った様子のイザベルが、再び恥ずかしさに囚われて顔を赤らめたら、スポットライトが外されて舞台に幕が下りる。

観客席に明かりが戻り、これで『ポーブル大尉』は終演となった。


それから二十分ほどが経ち、観客も役者もオーケストラも撤収してホールに静けさが戻っていた。

セシリアとイザベル、双子の侍女だけが、まだ帰らずにロイヤルボックスに残っている。