自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

生死をかけた戦いを繰り広げつつも、彼の頭にあるのは愛しい妻の顔。

愛しているのなら、妻の望む未来を与えてあげるべきだという結論に達した彼は、戦場から妻に宛てて手紙をしたためた。

そこには全財産を妻に譲るという旨と、幼馴染と再婚しなさいという言葉が綴られていた。

最後は戦場で、妻の幸せを願いながら、命を散らすという悲しい物語だ。


舞台は、クライマックスのシーンに突入していた。

トワル演じるポーブル大尉が敵兵に斬られて倒れ、命を落としたかのように見えたが……。

突然、「私はまだ死ねない!」と叫んだ彼が立ち上がり、愛の歌を歌い出したから、観客席がざわついた。

有名な演目なので、観客のほとんどは正しいストーリーを知っていると思われる。

一体、なにが起きたのかと皆はどよめき、イザベルも「え!?」と驚きの声をあげていた。


どうやら台本は、セシリアが頼んだ通りに修正されているようだ。

それにニンマリとした彼女は、「さあ、出番よ!」とイザベルの手を取って椅子から立ち上がらせた。


「出番って、どういうこと!?」