自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

二階にはロイヤルボックス席があるため、この階の座席を買えるのは、身元の確かな上客のみである。

ロビーにいる客は皆、一際立派な身なりをしているが、セシリアには敵わない。


今日のセシリアは、淡い紫色のドレスを着ている。

上品かつ華やかなドレスはセシリアの美しさをさらに引き立て、襟元のネックレスや髪飾りは宝石がちりばめられて豪華である。


王女の登場に、皆が慌てて立ち上がって頭を下げる中、ひとりだけ座ったままで偉そうに足を組み、ツンと澄まし顔をしている女性がいた。

真紅のドレスを纏ったその女性は、イザベルである。


「イザベル!」と弾んだ声をかけ、セシリアは歩み寄った。


「招待を受けてくれてありがとう。実は来てくれないんじゃないかと、少しだけ心配していたの」


セシリアは二日前、一緒にオペラ鑑賞しましょうという内容の招待状を、イザベルに送っていた。

そこに、仕返しを企んでいる旨を正直に書いたため、欠席の可能性も少しだけ考えていた。

嫌がらずに来てくれたことに、心からお礼を述べたセシリアであったが、イザベルは不機嫌そうな顔で立ち上がると、フンと鼻を鳴らした。