自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

そのように、クロードの大人の色気にやられて戦闘不能になってしまったセシリアを、侍女たちがなんとか立ち直らせて、数日かけて綿密な悪事の計画を練ってきた。

それを実行する場所がこの歌劇場で、十五時から開演のオペラの最中に、イザベルに辱めを受けてもらう算段である。


歌劇場の入口は、神殿のような太い石柱が建ち並んで、荘厳さと伝統を感じさせる。

その正面玄関前に王家の馬車を横づければ、待ち構えていた劇場関係者が一般客に道を開けさせ、赤絨毯が素早く敷かれた。

御者が馬車の扉を開けたら、まずはカメリーが降り、彼女の手に掴まってセシリアが赤絨毯に足を下ろす。

最後にピョンと元気に飛び降りたのは、ツルリーだ。


「王女殿下、ようこそお越しくださいました」とうやうやしい声をかけるのは、黒い燕尾服姿の初老の紳士。

男爵の地位を持つ彼は、この歌劇場の支配人で、セシリアとは顔馴染みである。


「ご機嫌よう。本日はエストラード歌劇団のオペラを楽しませてもらいますわ。よろしくお願いします」