自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

セシリアが目を丸くしている理由は、イザベルの悪女っぷりがとても上手で、感心しているためであった。


足の痛みを忘れるほどに興奮したセシリアは、立ち上がると、イザベルの両手をしっかりと握りしめる。


「イザベル、すごいわ! それこそ、わたくしが追い求めていた悪役令嬢よ。お手本を見せてくれたのね。ありがとう!」

「は……?」


イザベルが自ら化けの皮を剥いだというのに、セシリアはまだ自分たちは親友だと信じて疑わない。

それはセシリアがお人好しで純真な心をしているせいなのか、それとも楽しく交流してきた過去の思い出を壊したくないという、防御的な反応からくるものなのかもしれない。


握りしめたイザベルの両手をブンブンと上下に振ったセシリアは、勘違いし続ける。


「ねぇ、わたくしが悪い娘になろうとしていたことを、どうして知ったの? 親友なら言わなくても伝わるものなのかしら?」

「セシリア、なにを言っているの? そんなのーー」

「そんなの当たり前だと言ってくれるのね! イザベル、嬉しいわ。大好きよ!」