自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-

「そんなことを怒っているわけじゃないわ。セシリアに、結婚でも先を越されることが許せないのよ」


許せないと言われても、セシリアは目を瞬かせるばかりである。

自分たちは親友で、お互いを思い遣る間柄だと信じて疑わないから、イザベルの言いたいことが伝わらないのだ。

「え?」と首を傾げたセシリアを、フンと鼻で笑ったイザベルは、意地の悪さを隠すことなくあらわにした。


「いい機会だから教えてあげるわ。わたくし、ずっと前からあなたのことを目障りだと思っていたのよ」


これには目を丸くして驚くセシリアに、イザベルはニタリと嫌な笑い方をする。

そして種明かしをするように、これまで王女に対して抱いてきた不満を口にした。


幼い頃はイザベルもセシリアが大好きで、一緒に遊べることを純粋に喜んでいたそうだ。

しかし、勉強やお稽古ごとに励まねばならない年齢になれば、事情は変わる。

なにかにつけて周囲から比較され、随分と嫌な思いをしてきたらしい。

美しく清らかで、何事においても優秀なセシリアには、どんなに努力しても敵わない。

いや、必死の頑張りで同じレベルに達しても、両親を含めた周りの大人たちは、セシリアを一番だと評価して、見習いなさいとイザベルを諭すのだ。

自分の性格が歪んでしまったのは、セシリアのせいだと、イザベルは憎しみさえ覚えていた。