帰るために席を立つ令嬢たちを見て、セシリアはホッと胸を撫で下ろす思いでいる。
楽しい雰囲気を壊すまいと、失敗続きの恥ずかしさは心の隅に追いやり、くじいた右足首のズキズキとした痛みも隠し通して明るく振る舞っていた。
だが、そろそろ笑顔をキープするのが難しくなっていたのだ。
(歩けば、足を引きずってしまいそうね……)
皆が出ていってから、最後に立ち上がろうと思ったセシリアは、そのまま席に座っていた。
すると、別のテーブル席であったため、あまり話しができなかった令嬢たち十人が寄ってきて、セシリアを取り囲むようにして声をかけてくる。
別れの挨拶だけならいいのだが、新たな話題を持ち出す人がいて、セシリアは困ってしまった。
「セシリア様、風の噂で聞きましたわ。近々、ご婚約が決まるんですって? お相手はどなたですの?」
「それは……ごめんなさい。確約するまでは、お教えすることができないのよ」
「そうですわよね。わたくしったら、詮索するような真似をしてしまいました。お気を悪くなさらないでくださいませ。お祝いしたい気持ちが先に出てしまっただけですの」
「ええ、わかっています。あなたの優しさが嬉しいわ」
結婚について噂されていることは、セシリアにとって想定内のことであった。
婚姻により貴族の力関係が変わることもあるので、そういう情報はいち早く広まるものなのだ。
楽しい雰囲気を壊すまいと、失敗続きの恥ずかしさは心の隅に追いやり、くじいた右足首のズキズキとした痛みも隠し通して明るく振る舞っていた。
だが、そろそろ笑顔をキープするのが難しくなっていたのだ。
(歩けば、足を引きずってしまいそうね……)
皆が出ていってから、最後に立ち上がろうと思ったセシリアは、そのまま席に座っていた。
すると、別のテーブル席であったため、あまり話しができなかった令嬢たち十人が寄ってきて、セシリアを取り囲むようにして声をかけてくる。
別れの挨拶だけならいいのだが、新たな話題を持ち出す人がいて、セシリアは困ってしまった。
「セシリア様、風の噂で聞きましたわ。近々、ご婚約が決まるんですって? お相手はどなたですの?」
「それは……ごめんなさい。確約するまでは、お教えすることができないのよ」
「そうですわよね。わたくしったら、詮索するような真似をしてしまいました。お気を悪くなさらないでくださいませ。お祝いしたい気持ちが先に出てしまっただけですの」
「ええ、わかっています。あなたの優しさが嬉しいわ」
結婚について噂されていることは、セシリアにとって想定内のことであった。
婚姻により貴族の力関係が変わることもあるので、そういう情報はいち早く広まるものなのだ。


