「テスト終わってすぐに運動会ってのも、目まぐるしいよね」


「五月よりも六月の方が、クラスの結束力が強まってるからなんだって」


「一年生にとっては、その方がいいのかもね」


「だね。入学したての頃はオドオドしていた一年生たちも、最近はだいぶ高校生活に慣れてきたみたいだし」


救護テントの準備を終えたあたしと海莉は、自分たちのクラスの場所に向かった。


校庭に引かれた白線や、綱引きの綱や、得点ボード。


日頃は体育館の用具室にしまい込まれている道具類が、運動会感を演出している。


あたしはイスに座って頭にハチマキを締めながら、プログラムを確認した。


あたしが出場する種目は、綱引きと、玉入れ。


あたしって自慢じゃないけど、運動神経、一切ないから。


お母さんのお腹の中を探せば、たぶんどっかに丸まんま残ってるはず。


なので、できるだけ勝敗の責任がうやむやになるような団体競技を選んだんだ。


「海莉はどの種目に出るんだっけ?」


「百メートル走と借り物競争と選抜リレー。活躍するから応援よろしく!」


そんな会話をしているうちに開始時間がきて、今年の運動会がスタートした。