ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。

ふたりで急いで中庭を出て教室に向かい、本鈴が鳴ると同時に自分の席に着いた。


担任が来るのを待ちながら机の中に教科書類を入れていると、近くの女子たちの声が聞こえてくる。


「ねえ、ちょっと聞いた? 篠原さんと阿部くんって別れちゃったらしいよ?」


「え!? ほんと!?」


意外な話題に、教科書を入れる手が止まった。


うちのクラスの篠原さんと阿部くんが? 知らなかった。あのふたり、昨日まで順調だとばかり思っていたのに。


「そういえば卒業した松崎先輩たちも、結局自然消滅だって」


「えー、ショック! 理想のカップルで学校中の憧れの存在だったのに!」


「春は別れの季節だからね。実はあたしのお姉ちゃんも長く付き合ってた彼氏と別れてさ、今度別の人と付き合い始めたの」


「そうなんだ。早めに次の出会いを手に入れてよかったじゃん」


「だよねー。さっさと次に行った方が賢明だよね」