ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。

「ねえ、海莉。幼なじみと恋人関係の違いって、なんだろうね?」


ぼやけて色が混じり合う花たちが風に揺れるのを見ているうちに、ずっと気になっていたことがポツリと口を突いた。


お母さん、言っていた。『こんなことなら想いを伝え合わなければよかった』って。


両想いにならない方がよかったってこと?


そんなの変だよ。せっかく気持ちが通じ合って結ばれたのに……。


「恋がずっと続く保証なんてないからね」


海莉が背中を撫でる手を止めて、少し首を傾げながら考え込む。


「あたしも小学校や中学校でそれぞれ男子を好きになったけどさ、今は関先輩のことが好きだし」


「……うん」


「瑞樹は小さい頃から甲斐くんひと筋だけど、ずっと誰かひとりだけを想い続けるのって、けっこうレアなケースだと思うよ?」


それは、わかる。


これまでのクラスメイトたちの恋愛に関する噂話は、華やかで、目まぐるしかった。


環境が変われば、それにつれて人間関係も変わっていくのは当たり前だ。


あたしが雄太をずっと思い続けていられたのは、あたしたちが幼なじみだってことが大きいと思う。


幼なじみには変化も終わりもない。年を取ってもいつまででも、ずっと幼なじみでいられる。


でも恋は?


恋が終われば、待っているのは別れだ。