けど、心に余裕ができた分、さっきお母さんが言っていた言葉が頭の中によみがえってくる。


『幼なじみに終わりはないけれど、恋には終わりがあるの』


……終わり。


終わり。


終わり。


そうだ。もう終わってしまった。


かけがえのない大切なものは、ついに崩れてしまった。


もう二度と元には戻らない。あたしは永遠に失ってしまったんだ……。


「うっ……。うぅ……」


胸がギュッと潰されるみたいに痛んで、反射的に立ち上がったあたしは、フラフラと窓に近寄ってカーテンに掴まりながら外を眺めた。


お隣の家族がリビングに集まり、楽しそうに笑ってる様子が見えて、カーテンを握りしめる両手が発作のように震える。


ノドの奥から勝手に泣き声が飛び出してきて、歯を食いしばることもできない。


両目から雨みたいに涙が流れて、頬を伝ってポタポタと顎から落ちていく。


お父さん、どうして?


お母さん、どうして?


お父さんとお母さんにとって、この家族は失ってもかまわないものだったの?


でも、でもあたしにとっては……!


カーテンを引き千切りそうになるほど思い切り引っ張り、両目に押し当てながら、あたしはわぁわぁと声を上げて泣き続けていた。