『好き』の幸せと、『秘密』の寂しさが、いつも心の奥でシーソーみたいにユラユラしている。


あたしに話しかける雄太の唇の動きや、笑いかけてくる眉のラインを黙って眺めながら、そんな自分の心を見つめてる。


少し寂しさの方が勝ちそうなのは、あたしたちを照らす夕焼け色が、切なくなるほどきれいなせいかな?


「なあ、夕日、すげえきれいだな」


不意に雄太が空を見上げて言った。


「なんか夕焼け空って、きれいすぎて胸が切なくなる」


その言葉と、うっすら朱色に染まった雄太の横顔に胸がキュンと痛んだ。


同じこと考えてたんだ。うれしい……。


こういう小さな繰り返しで、また雄太を好きになっていく。


あたしは日暮れの空に向かって、好きの痛みを逃がすみたいに小さな息を吐いていた。


「今日はあんまり話さないんだな」


雄太にそう言われて、自分がさっきからずっと黙り込んでいるのに気づいてハッとした。


いけない。せっかく雄太と一緒に帰っているのに、つい自分の世界に入り込んじゃった。


なんか話さなきゃ。ええと……。


「もしかして、家のこと? またなんかあったのか?」