生徒玄関を出て校門から離れるにつれて、校庭で活動している運動部員たちの掛け声が遠ざかっていく。
通い慣れた商店街の通学路を歩きながら、あたしたちは今日一日の出来事を教え合った。
「今日さ、生徒会室が使えなくて理科室を利用したんだ。内臓丸出しの人体模型と骨格標本にガン見されながら、真面目な顔して議題を進めてる生徒会長の姿が、かなりシュールだった」
「ぶふっ。それ海莉に教えてあげなきゃ。そういえば今日のお昼ね、海莉がお弁当のおかずに納豆持ってきたの。お取り寄せの特製水戸納豆を、なんと3パック一気食い!」
「マジかそれ」
「うん。海莉は『最高!』って幸せそうだったけと、周りに納豆の匂いが充満して大変だったよ」
「あいつのそういう個性的なキャラって貴重だよな。俺、本気でちょっとリスペクトしてるわ」
車道を走る車の音と、ふたりの笑い声が混じり合う。
あたしの知らない今日の雄太と、雄太の知らない今日のあたしが、こうして少しずつ混じり合っていく。
隣でアスファルトを踏む大きな革靴が、あたしの歩幅に合わせてくれる優しい足音。
時折あたしの名前を口にするリズムと、イントネーション。
まるで、お気に入りの心地いい音楽を聴いているみたい。
通い慣れた商店街の通学路を歩きながら、あたしたちは今日一日の出来事を教え合った。
「今日さ、生徒会室が使えなくて理科室を利用したんだ。内臓丸出しの人体模型と骨格標本にガン見されながら、真面目な顔して議題を進めてる生徒会長の姿が、かなりシュールだった」
「ぶふっ。それ海莉に教えてあげなきゃ。そういえば今日のお昼ね、海莉がお弁当のおかずに納豆持ってきたの。お取り寄せの特製水戸納豆を、なんと3パック一気食い!」
「マジかそれ」
「うん。海莉は『最高!』って幸せそうだったけと、周りに納豆の匂いが充満して大変だったよ」
「あいつのそういう個性的なキャラって貴重だよな。俺、本気でちょっとリスペクトしてるわ」
車道を走る車の音と、ふたりの笑い声が混じり合う。
あたしの知らない今日の雄太と、雄太の知らない今日のあたしが、こうして少しずつ混じり合っていく。
隣でアスファルトを踏む大きな革靴が、あたしの歩幅に合わせてくれる優しい足音。
時折あたしの名前を口にするリズムと、イントネーション。
まるで、お気に入りの心地いい音楽を聴いているみたい。


