じゃあ、あたしは?


あたしはいったい、なにをしているの?


『瑞樹はどうしたいの? どうありたいと願ってる?』


あのときの海莉の言葉と、澄んだ目があたしに問いかけてくる。


そうだ。あたしは、どうしたい?


「…………」


ギュッと両目を閉じ、ゴクリとツバを飲み込んでから、大きく深呼吸をして目を開けた。


今こそ、自分自身に答えるときだ。


あたしは、もういいかげん、グズグズ泣いてばかりで潰れた両目を開くべきなんだ。


「お父さん、お母さん。正直に答えて」


あたしは、小さな声を精いっぱい振り絞った。


手のひらは不安と恐怖で汗びっしょりだ。ドクドクする心臓が痛い。お腹痛い。呼吸が速まって息苦しい。


だって望まない答えが返ってきて、また傷ついて泣くかもしれない。


それでも、あたしは聞きたいんだ。


あたしは自分のために、しっかりと両目を開いて、自分で問いかけたいんだ。


「結婚したこと、間違いだったと思ってる? 後悔してる?」


あたしの視線に一瞬ひるんだお父さんは、ちょっとだけ間を置いて、それでもすぐに答えてくれた。


「いいや。後悔はしていないし、間違いだったとも思っていない」


フルフルと首を横に振り、そしてあたしを見ながらはっきり言った。


「瑞樹が生まれてくれたのに、後悔なんてするはずがない」


その言葉を聞いた瞬間、あたしは息をのんだ。