望み通りの結果が手に入る保証がないから、怖くて前に踏み出せない。


同じ所に留まって、心の中で壁打ちみたいに聞きたい言葉を繰り返している。


そして誰にも届くことのない問いかけは、自分の中でどんどん勝手に、悪い方に膨れ上がっていく。


雄太はその苦しみからあたしを救うために、こうして両親に聞いてくれているんだ。


「怖がらなくていい。もしも望まない答えが返ってきたとしても、俺がお前を救ってみせる」


強い覚悟を感じる声と、凛とした眼差し。


雄太は本気だ。


傷つかない場所に引っ込んだままのあたしを、自分を悪者にしてまで、なんとか引っ張りだそうとしている。


……あたし、その優しさに甘えたままでいいの?


雄太はあたしへの気持ちを証明するために、盾になってあたしを守ろうとしてくれている。


海莉は自分の恋を叶えるために、断られるリスクを承知の上で関先輩に告白して、チャンスを掴んだ。


田中さんは自分の未来のために、全校生徒の前で堂々と、雄太への想いを告げる勇気を見せた。


みんな、傷を受けることを覚悟で、自分や誰かのために前を向いて一歩を踏み出している。