「ねえ雄太、今うちがどういう状況かわかってるの?」


混乱してあれこれ考えてるうちに、なんだかちょっと腹が立ってきた。


責める口調のあたしとは逆に、雄太はどこまでも普段通りの様子でうなずく。


「もちろんわかってる」


「わかってるなら、なんで今言うの!?」


「これからずっとお前がつらいときや苦しいときに、俺がお前を支えるって証明するためだ」


静かな声に込められた真剣さに、あたしは思わず口を閉じた。


それ、体育館であたしに告白してくれたときにも言ってくれた言葉だ……。


雄太は、あたしと同い年とはとても思えないような大人びた表情で、お父さんとお母さんを見ている。


「瑞樹は両親の離婚でとても苦しんでいます。その気持ちは、おじさんたちにわかってもらえていますか?」


「ああ。もちろんわかっているよ。瑞樹には本当にすまないと思っている」


そう言ってお父さんは、あたしに向かって深々と頭を下げた。それを見たお母さんも一緒になって頭を下げる。


その姿を見たあたしは、いたたまれずに視線を逸らした。


やめてよ。そんな、自分の親が頭を下げてるところなんか見たくないよ。