リビングに入ったら、L字型ソファーの端と端に別れてお父さんと雄太が座っていて、同時にこっちを向いた。


物々しい雰囲気に気後れして、あたしはその場に立ち止まる。


いったいなんだって言うの? ただでさえゴタゴタしてるって言うのに、なにをするつもり?


入り口に立ったまま目で訴えるあたしに、雄太は手招きした。


「瑞樹、来たか。俺の隣に座れよ」


来たかって、ここはあんたの家じゃないでしょ。


状況が把握できていないせいで少しイライラしつつ、あたしは言われるまま雄太の隣に移動した。


あたしがちゃんと座ったことを確認した雄太は、お父さんとお母さんが座っている方に体を向ける。


そして「おじさん、おばさん」と、改まった声と態度で話し始めた。


「おじさんたちが離婚すること、うちの両親から聞きました。大変なときにとつぜんお邪魔して済みません」


頭を下げる雄太の姿を、ふたりとも黙って見つめている。


当然あたしも、これから雄太がなにを言い出すのか、疑問に思いながら見守っていた。